事務所ブログ

◆同一労働同一賃金! について思う

定年後に再雇用されたトラック運転手3名が、定年前と同じ業務なのに賃金が下がったのは違法であるとして勤務先の運送会社を訴えたもので、今年5月13日に下された判決は「同一労働であるにもかかわらず、同一賃金でないのは、労働契約法20条に反する」として、定年前の賃金規定を適用し、差額分を払うように命じたものとなりました。

これは、賃金格差に関して、労働契約法違反を認めた初の判決となり、大きな注目を浴びました。

それまで、定年を迎えた社員を定年前よりも引き下げた給与水準で再雇用することは、すでに多くの企業が慣例的に行っており、3割程度引き下げている企業は、中小企業では過半数でした。
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従来、裁判所は、賃金の決定については、基本的に契約自由の原則が妥当することを前提に、同一労働、同一賃金の原則の法規範性自体は否定してきました。
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すなわち、長期雇用労働者と、短期雇用労働者とは、雇用形態が異なっている以上、賃金制度が異なっていることは不合理ではないという判断がなされるのが一般的でした。


現在、安倍政権が導入に意欲をみせている「同一労働同一賃金」!!

それはどんな考え方で、導入するにあたり、どのような課題があるのでしょうか?

大手外資系ショッピングセンターのコストコが、管理職以外の正社員でも時給制を導入したことが、話題になっています。

紹介された記事によると、コストコでは管理職以外の全員が時給制となり、『同一労働同一賃金』の考え方で、全体の約50%を占める正社員に時給制を導入し、全国で同じ仕事をするのであれば、同じ時給となったそうです。

正社員にも時給制を導入すれば、バイトや契約社員との格差も少なくなり、より柔軟な働き方が実現しそうです。

同一労働同一賃金を導入するかどうか、議論になっていますが、それについては、どのようなメリットや課題が考えられるでしょう…
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【同一労働同一賃金を導入することのメリット】
① 非正規社員の待遇を正社員並みに引き上げることで、非正規社員の収入が増加し生活が安定化する

② ①により、年収が低い男性の非正規社員の婚姻率の改善につながる可能性がある

③ ②により少子化対策にもつながる可能性がある

④ 非正規労働者の意欲向上や能力発揮による労働生産性が向上できる可能性がある

⑤ 個人のライフプランやライフサイクルに応じて勤務形態を選択しやすくなる

⑥ 企業側は優秀な人材を確保しやすくなる

【同一労働同一賃金を導入することのデメリット】
① 職種別賃金制度を打ち出しておかないと、何が同一の労働であるかが曖昧になり、社内で混乱を招く可能性がある

② 非正規社員の時給を正社員に合わせた高水準に引き上げて同等の賃金にするのではなく、正社員の時給を非正規社員の時給まで引き下げることで同等の賃金にしようとする企業が出てくる可能性があり、事実上の人件費削減に使われるリスクがあり、その結果、正社員の意欲を減退させるというリスクも懸念される

③ 非正規社員に対して正社員並みの賃金を支払うことができない企業としては、非正規社員を雇用することが割に合わないと考えることで、非正規社員を雇用しなくなる弊害が出る可能性がある

このような結果になっては本末転倒ですので、慎重な検討が必要でしょう。

労使、正規と非正規、おかれる立場により、印象はそれぞれですが、
さあ、皆さんは、「同一労働同一賃金」について、どのように考えますか?

【写真上:夏はひまわり、太陽の花ですね!】
【写真中:フルーツパーラーゴトー のかき氷すいか】
【写真下:時香忘のおろし蕎麦…辛味大根が効いた信州そば、美味しかったです!】

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