事務所ブログ

◆電通~2度目の過労死事件

2015年12月25日に飛び降り自殺をした電通の新入社員・高橋まつりさん(享年24)の労災認定が、2016年9月末に下りました。

そして10月14日には東京労働局による電通本社への一斉立ち入り検査が入り、さらに11月7日、厚生労働省は労働基準法違反の疑いで電通の東京本社や全国の支社に対して、強制捜査に乗り出しました。

電通は2015年8月に労働基準監督署から違法な長時間労働について是正勧告を受けていたにも関わらず、2015年12月に過労自殺が起きてしまったため、当局は重大かつ悪質な問題と判断しています。
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高橋さんは、上司から「君の残業時間は会社にとって無駄」「髪がボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「女子力がない」などと、セクハラとなるような注意も受けていたとのこと。
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平成27年12月、クリスマスの早朝に、お母様に送られたメールは、
「仕事も人生も、とてもつらい。今までありがとう」
そして、メールを受信したお母様は、急いで電話し「死んではだめよ」と、元気づけましたが、力ない声で「うん、うん」と返答し、その数時間後、高橋さんは寮から飛び降り、命を絶ったそうです。

こんなに若く、親孝行で、優秀で、頑張り屋さんの可愛い方が、…

将来を有望視され、これから素晴らしい人生を切り開けたでしょうに…本当に悲しすぎる死です。

「過労死ライン」は月80時間とされていますが、あまりに労災認定は遅すぎました。
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電通では、「取り組んだら『放すな』、殺されても放すな」などと書かれた社員の心得「鬼十則」を社員手帳に掲載していました。(今回の事件により、掲載するのを取りやめることに決定したそうですが

鬼十則は4代目社長の吉田秀雄氏の遺訓で、1951年に制定されたもので、広告業界を中心に仕事への心構えとして有名だったそうです。

【鬼十則】
1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2.仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4.難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。


電通では労務管理や安全配慮義務をどのように捉えていたのか…

社員の成長を考えた十訓なのか、会社本位な十訓なのか。

社員を大切に育てるということをせずに、社員を酷使することで利益を上げるという体質であったように思います。

母親の幸美さんは7日、厚生労働省で記者会見し、「労災認定されても娘は戻ってこない。命より大切な仕事はありません。過労死を繰り返さないで」と訴えました。

とても辛く重みのある言葉でした。
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1991年8月27日に電通で働く大嶋一郎さん(享年24歳)が 自宅で首を吊り、帰らぬ人となりました。

そんな衝撃的なニュースから24年経ち、何も変わっていなかった電通。
何も変えようとしなかった電通。

そして、今回は2回目の過労自殺。

私は仕事柄、労働局、労働基準監督署の調査の立ち会いを毎月数回しています。

特に労災事故や訴えがあった訳でもなくても、調査は実施されます。

「2015年8月に労働基準監督署から違法な長時間労働について是正勧告を受けていた」とありますが、24年前の衝撃的な過労自殺の後、過重労働の劣悪な労働環境で社員を働かせている会社だと把握しておきながら、その後の監督指導が不十分で、改善されていなかったからこそ、同様の過労自殺が繰り返されたのではないしょうか?

もちろん電通に責任がありますが、労働基準監督署にも大きな過失があったように思っています。

私は電通だけではなく、労働基準監督署の怠慢に憤りを感じます。

企業が社会に貢献し、利益を追求することは、非常な重要使命です。

しかし、利益を生み出すのは、労働者酷使によるものではない、企業努力によるものであるべきです。

この会社で働きたいと思って入社してくれた社員を大切にし、毎日心身ともにいきいきと健全に安心して働ける職場環境があってこそ、社員の士気が高まり、企業の発展に結び付くものではないでしょうか。

そのような環境を労働者に提供していくのは、使用者の大きな仕事のひとつだと、私は考えます。
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