
最近の労働基準監督署の取締り規制の徹底ぶりには目を見張るものがあります。
是正勧告を受けた事業主にとって、最も脅威なのが「過去2年間の不払残業代支払命令」ですが、この残業代不払の是正勧告件数は、平成17年度の1年間を見ますと、以下の通りになっています。
・労働基準監督署の定期監督による是正勧告件数…2,518件
・労働者の労働基準監督署への申告による是正勧告件数…28,906件
このうち、100万円以上の不払残業代支払命令を受けた企業数は1,524社で、その不払い残業代の総額は、232億9500万円にも上ります。
労働者の内部告発により残業代の不払いが発覚し、労働基準監督署から支払命令を受けた事業所が「圧倒的に多い」ことが分かります。
■最近の是正勧告の要因
最近急増する労働基準監督署の取締り強化の要因には大きく分けて以下に述べる2つの要因があるようです。
1.労働者の健康保持の為の長時間労働の削減・サービス残業取締り強化の要請・重大な
労災事故の防止
2.労働者側の権利意識の高まりによる申告や内部告発の増加
あなたの会社は大丈夫でしょうか?
■是正勧告とは…労働基準監督署の指導です。
労働基準監督署は、労働基準法や労働安全衛生法の遵守状況の確認の為、調査に入ります。
○ 調査原因:従業員の監督署駆け込み、重大な労災事故、定期(数年に1回)、臨検
⇒違反している場合:「是正勧告書」の発行
⇒法令違反の恐れ :「指導票」の発行
○指定期日までに改善し、改善内容を労働基準監督署に報告
行政指導ですので従わなければならないことはありませんが…
報告しないと最悪、逮捕・書類送検される場合もありえますし、大企業の場合、マスメディアで報道されることもあります。
■最近の労働行政の取り組み状況
先述した電通事件の第一審判決が出た平成8年3月以降、以下に述べるように労働行政の動きが急に活発化しました。
平成8年10月
「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」を策定
平成11年9月
「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」を策定
平成13年4月
「労働時間の適正な把握の為に使用者が講ずべき措置に関する基準」を策定
平成13年12月
「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」を策定
平成14年2月
「過重労働による健康障害防止の為の総合対策」を策定
平成15年5月
「賃金不払い残業総合対策要領」、「サービス残業解消対策指針」を策定
平成18年3月
「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」を策定
■事業所調査・臨検を受ける場合の対応と心構え
最近の労働行政からお分かりのように、労働時間管理・割増賃金支払・健康診断実施などに対する監督強化は、企業の社員に対する健康(安全)配慮義務違反事件多発の流れの中から生じた“取締り強化に対する社会的要請”に基づいている、ということをよく理解する必要があります。
労働基準監督署の事業所調査や臨検を受ける場合は、表面的な対応で報告するのではなく、従業員の健康障害防止という視点を持った対応姿勢で調査や臨検に臨むことが重要です。
過重労働などは重大な労災事故の原因や民事トラブルの原因となり、賠償が発生します。
経営者として「法律を知らなかったから」という理由では通りません。
税務調査よりも軽く考えられる方も多いのですが、安易に謝った処理をすると会社存亡の危機にもなりかねません。
調査対策や対処方法については、経験と知識の豊富な労働法のプロである社会保険労務士にご相談されるのが賢明でしょう。
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